SARSなど香港医学の歴史がよく分かる香港医学博物館☆Hong Kong Museum of Medical Sciences

1996年にオープンした「香港醫學博物館」へ行きました。西洋と東洋の医学を比較している興味深い博物館で、香港の医学サイエンスの歴史を見ることができます。位置的には街の真ん中にあるのですが、その建物は木々に囲まれた場所にひっそりとありました。


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表には薬草のガーデンもあって良い感じです。本日は漢方とかを学びたくてやってまいりました。


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イギリス風の建物が素敵です。入り口で入場料の20ドルを払おうと思ったら「世界博物館デーなので」と言われ、無料で入れました。そんな日があるんだなァ。


香港醫學博物館 Hong Kong Museum of Medical Sciences

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元は「細菌學檢驗所」や「香港病理專科學院」として使われていたそうです。でも、そんなおどろおどろしい感じは全くなく、むしろ爽やかな風が流れているかのような雰囲気でした。


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1番初めに「石原式色覚異常検査表」がありました。日本人によってつくられたものとは知りませんでした。他にも3D眼鏡をかけてみるビデオなど、そんなに広くはない場所ですが、いろいろな展示がありました。


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学習コーナーもあり、見たり触ったりしながら見学できるので飽きません。パズルなどもありました。普通の博物館とは異なり、一軒家なので、窓からの光が差し込んで気持ちが良いです。


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と、爽やかな風 (想像上) が吹いていたのはここまでで、ここからは本当に「細菌學檢驗所」や「香港病理專科學院」として使われていたと気付かされるような展示が出てきました。2003年に香港で大流行したSARSについての展示です。


日本の国立感染症研究所によると、SARSとは、
「中国南部の広東省を起源とした重症な非定型性肺炎の世界的規模の集団発生が、2003年に重症急性呼吸器症候群 (SARS: severe acute respiratory syndrome) の呼称で報告され、これが新型のコロナウイルスが原因であることが突き止められた」というもので、世界保健機関(WHO) が、全世界に向けて異型肺炎の流行に関する注意喚起 (Global Alert) を発し、原因不明の重症呼吸器疾患として「世界規模の健康上の脅威」と位置づけ、異例の旅行勧告も発表したほどの大事でした。

SARSウイルスの感染源である可能性が高いと言われているハクビシンは、パネルの左下から2番目の写真の動物です。


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2003年2月22日に最初の患者が香港の病院に入院してから、2003年7月5日にWHOによって終息宣言が出されるまでに、香港政府がどのように状況をコントロールしていたかの記録がありました。当時は今まで聞いたこともない新型ウイルスだったそうで、香港にとって最悪の4か月半だったことがうかがえます。


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感染源の特定にはスーパーコンピューターが使われました。結果、最初の患者は、香港に旅行で来て、Mホテルに宿泊していた中国・広州の医科大学教授だということが判明しました。ホテルスタッフが、その患者の咳などで汚染された該当部屋を清掃し、同じ清掃用具で掃除した別の部屋に宿泊していた外国人旅行者たちにまず感染しました。その後、治療にあたった医療関係者、航空機内で乗り合わせた乗客、その人達が行った多くの病院でも感染が広がり、瞬く間に世界中に広まりました。中でも香港の高層住宅の1つ、アモイガーデン内では最悪規模の集団感染を引き起こしたそうです。


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アモイガーデンの模型もあり、アパート内でどのように感染していったかが分かりました。もう15年前のこととは言え、歴史上で言ったらまだ最近のことで、しかも今その香港に住んでいる身としては、一気に怖くなりました。


気を取り直して、別の展示室へ進みます。昔の医療器具は興味深かったです。こちらはいわゆる湯たんぽ。「沸騰したお湯を入れて使う」と書いてあります。


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ちょっとツッコミどころのある原始的な脈拍計もありました。


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上の階へ上がります。ステンドグラスが綺麗でした。


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まず目に入ってくるのは、こちらの貨物昇降機です。マニュアルで操作するもので、1950年以前「將舊病理檢驗所」の頃に使われていました。小さなベルは1962年から1973年まで使われていた火警鐘です。


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中はこんな感じです。こういうの使っている吉野家、見た事あるなァと思いました。


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その奥の部屋では、1894年に香港で大流行したペストのビデオが流れていました。この博物館がある辺り「太平山区」はその昔、人口密度がとても高く、衛生環境も悪かったことからペストが大流行しました。模型をよく見てみると家畜と同じ部屋で生活しています。


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香港政庁は該当の区域を封鎖し、住人を強制退去させたのち、家屋を取り壊し、家具を焼き払うことで対処したそうです。その当時、香港の病院にはほぼ中医学の先生しかおらず、衛生面は重要視されていなかったそうです。感染経路はネズミで、発見したのはなんと日本人の医師でした。その当時のことが分かりやすく書いてあると思ったウェブサイトはこちらです。ご興味の方はご一読ください。命がけでペストの蔓延を食い止めた日本人たちがいたことに感動しました。

そのお隣は研究室です。渋めの研究者たちが出迎えてくれます。


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当時のスチームタンクです。ただの大きめのやかんに見えなくもないけど、そんな野暮なことは言いません。


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普通の博物館と違い、本当に使っていた場所なので、ちょっと怖いです。素人はつい「まだばい菌が残っているんじゃないか・・」なんて思ってしまいます。


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地下の展示室はもっと怖かったです。実際に使っていたのかと思ってしまう (←というか多分そう) 手術台や、


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「よかったら座ってみてください」と言わんばかりの歯医者さんのセット。


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麻酔の機械など、全てケースに入っていなく、そのまま展示されているのがすごいです。感染したらどうするんだー(偏見です)。


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そんな自由な感じの中、1つだけ厳重に立ち入り禁止となっていた検死解剖室・・。窓から中を見ることはできます。


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唯一、ほっとしたのは漢方薬のお部屋です。「こういうのが勉強できるかと思って来たんだった」と思い出しました。でもここに来るまでの情報量が多すぎて、疲れていたので、こちらはさーっと見て終わりました。そもそも、このコーナーはあまり資料がなかったです。


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展示物もすごいですが、こちらの建物自体も歷史建築級別で法定古蹟に指定されている貴重なものです。ステンドグラスに木製の階段、暖炉や床のタイルなど見どころがたくさんあります。


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1番初めは1906年に「細菌學檢驗所」としてオープンしたそうですが、言われなければ、優雅でクラシックでお金持ちのお屋敷みたいです。


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他にも纏足など、幅広いトピックが取り扱われている醫學博物館。医療に興味がない方でも、興味深く学べるのではないかと思います。なかなかのお勧めです。詳しい情報は香港観光局のウェブサイトからご覧いただけます。

なお付近で工事があるため、明日から開館時間と入場料が変わります。騒音と振動が予想されるため、入場料も半額になります!工事中でも気にならないという方はこの機会に是非~。いつまでなのかは分からないので、最新の情報はブログ最後にある香港醫學博物館の公式ウェブサイトをご確認ください。

火~金: 9:30–11:30 / 12:30–16:15
土: 9:30–14:00
日・祝日: 13:00-17:00

< 香港醫學博物館 Hong Kong Museum of Medical Sciences >
🏢 /2, Caine Lane, Mid Levels, Sheung Wan
📞 2549-5123
🕐 10:00-17:00 (火~土)/13:00-17:00 (日・祝日)
🕐 月曜定休/12月25日, 1月1日, 旧正月3日間休み
🕐 12月24日, 12月31日 15:00に閉館
💰 大人20ドル/学生、60歳以上と6歳以下の香港ID保持者 10ドル
💰 家族50ドル (大人2名, 子供3人まで)
💻 http://www.hkmms.org.hk/en/home/

他の香港情報もこちらからご覧いただけます♪
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ご覧いただきありがとうございました。Thank you for reading.
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Commented by ぐわい at 2018-05-22 20:14 x
香港の博物館のなかで一番好きといっても過言ではないです〜
とかいって、入ったのは一度だけだけど(*^^*)
あの建物が大好きなんです❤️
解剖室は牛(か馬)と獣医の模型があるとこかな?
もしそうだったらシュールでおすすめですよー
うふふ
Commented by ni07050 at 2018-05-23 12:31
> ぐわいさん
建物も素晴らしかったですが、その展示内容にすっかり感化されました!
解剖室はそうです、獣医さんのいるところです。
全体的に刺激が強めでびっくりしました ( ゚Д゚)。
by ni07050 | 2018-05-14 22:20 | 博物館・展覧会・お祭り | Comments(2)